「将来、半分の人が失業するって聞いたけど、本当なの?」
「銀行とかリストラの話をよく聞くけど、自分の会社は大丈夫なのかなー?」
この記事はこんな疑問を持っている方に向けて書きました。
初めまして。
フリーランス1年目の出川ルイと申します。
私はまだまだ未熟で、将来食べていけるか不安です。
それに追い打ちをかけるようにAIに奪われる職業があると聞きます。
実際のところどうなのか調べてみました。
少しでも参考になれば幸いです。
目次を見て、興味を持った章から読んで下さい。キーボードのHomeを押せば、ページ上部に移動します。
(アイキャッチ画像の提供サイト:Unsplash、作者:Franck V.)
1.失業者は年間60から100万人!
(提供サイト:Pixabay、撮影者:shauking)
「今後、10から20年の間に、働く人々の半数が職を奪われるかもしれないのです。」と数学者の新井紀子氏は言う。(*1、76p)これは2013年の論文に基づく。
しかし、その後、世界各国で検証が行われ違う結論が出た。「OECD加盟国(21ヶ国) の職業の自動化可能性を推計した場合、自動化可能性が70%を超える職業は平均9%である」と経済研究所の岩本氏らは言う。(「人工知能AI等が雇用に与える影響;日本の実態」、5p、2019.7.11アクセス)
日本の場合は、自動化可能性が70%を超える職業が「約7%」、自動化可能性が50%から70%の職業が「約23%」である。(「人工知能AI等が雇用に与える影響;日本の実態」、6p、図3、2019.7.11アクセス)
ここで失業者数を大雑把に計算する。就業者数の7%は70%失業し、就業者数の23%は50%失業すると仮定すると、就業者数の16%は失業する。就業者数は「6732万人」であるので、失業者数は約1000万人である。(「統計局ホームページ/労働力調査」、2019.7.11アクセス)
仮に10年間で約1000万人失業すると仮定するなら、年間約100万人失業する。
これがどのくらい大きいか次の数字と比較してほしい。
・完全失業者(世間で言う失業者):「165万人」(「統計局ホームページ/労働力調査」、2019.7.11アクセス)
・非労働力のうちの就業希望者:「331万人」(「「真の失業率」も算出…完全失業者に含まれない「仕事はしたいが求職活動はしなかった」人の推移をグラフ化してみる」、2019.7.11アクセス)
・生活保護受給者:「214万人」(「生活保護制度の現状について」、2019.7.11アクセス)
失業者が新しい産業に1年間で就職できれば失業者は100万人にとどまる。たとえ、100万人だとしても、失業手当や生活保護で許容できるのか。
「誤解だらけの人工知能 ディープラーニングの限界と可能性」の著者の松本健太郎氏は次のように言う。(「「AIが仕事を奪う」への疑問 いま、“本当に怖がるべきこと”は 」、2019.7.11アクセス)
「平均9%ほどの職業自体が、自動化が行き過ぎてなくなるのです。」
このような仮定だとしても、10年間で約600万人が失業する。つまり、年間約60万人である。これでも、相当大きい数字だろう。
2.新しい職業が生まれるから大丈夫?
(提供サイト:Unsplash、作者:Thought Catalog)
AIによって職業が無くなっても新しく職業が生まれるので大丈夫だと言うかもしれない。
それは違う。数学者の新井氏は次のように言う。(*1、271p)
もし、楽観論者の方々が言うように、AIで仕事を失った人々を労働力として吸収する新しい産業が生まれるとして、それはどのような仕事でしょうか。もちろん、AIにはできない仕事でなければなりません。 |
その通りである。新しい産業が生まれるので、そこまで深刻な未来にはならないと、私は安心していた。しかし、AIにできない職業は、はたして人間ができるのだろうか。
状況は厳しい。理由を2点述べる。
1.AIは読解力が乏しい。そもそも意味を理解できない。しかし、生徒も同様に読解力が乏しい。ここで生徒の読解力がどの程度か知ってもらいたい。ぜひ真剣に考えて欲しい。(*1、200p)
次の文を読みなさい。 Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが男性の名Alexanderの愛称でもある。 この文脈において、以下の文中の空欄に当てはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。 Alexandraの愛称は( )である。 ①Alex ②Alexander ③男性 ④女性 |
中学生(235名)の正答率は38%、高校生(432名)は65%であった。ちなみにAIは正解した。
適当に答えても25%は正解する。しかし、中学1年生の正答率は23%であった。
他の問題も解いた結果、「教室で座っている生徒の半分が、サイコロ並み」の読解力であった。(*1、215p)正解は①である。
このように、AIの苦手な読解力は、現在の生徒も苦手である。
3.高スキルと低スキルの労働者に二極化する
AIの進出によって、失業者が増えたら、その後どのような雇用環境になるのだろうか。数学者の新井紀子氏は次のように言う。(*1、273p)
私の未来予想図はこうです。 企業は人不足で頭を抱えているのに、社会に失業者が溢れている―。 折角、新しい産業が興っても、その担い手となる、AIにはできない仕事ができる人材が不足するため、新しい産業は経済成長のエンジンとはならない。一方、AIで仕事を失った人は、誰にでもできる低賃金の仕事に再就職するか、失業するかの二者択一を迫られる—。 |
また、経済研究所の岩本氏らは次のように言う。(「人工知能AI等が雇用に与える影響;日本の実態」、16p、2019.7.11アクセス)
自動化によって機械に置き換わりやすいのは、ルーティン作業や、事務の補助業務に代表される中程度のスキルを要する仕事であるという見方が一般的である。 |
また次のようにも言う。(「人工知能AI等が雇用に与える影響;日本の実態」、14p、2019.7.11アクセス)
高スキルの労働者は、大学や大学院での高等教育を要する。それゆえ、高スキルの職業を求めて教育を受けている間、人材の需要に対して供給がすぐに増加することはない。このことが、結果としてIT 関連の高スキル人材の需要をさらに高めることになる。これに対し、低スキルの労働は高等教育が必須ではないため、他分野から労働者が流入しやすく、生産性が高まっても単価が低くなる傾向があるため賃金の上昇は抑制されやすい。 |
これらからわかるように、高スキルと低スキルの労働者に二極化する。中程度のスキルの労働者はAIに置換された後、低スキルの労働者になりやすい。これは、彼らの読解力が乏しいから、読解力を基盤とした発想力や柔軟性が乏しいので、高スキルの労働者にはなりにくいためである。
低スキルの職業はAIに奪われない職業だとしても低賃金になる。
例えば、飲食業のアルバイトでは次のような経験をする。お客様が来たら出迎え、水を用意し、オーダーをとる。それを料理長に伝える。お客様が帰る時になったらお会計をした後、テーブルを片付ける。空いている時間に、食器を洗い、料理ができたら、料理補助をし、お客様にお出しする。これらの仕事を臨機応変に対応しないといけない。
こういう職業は、なかなかAIには置き換わらない。しかし、多くの人ができるため、時給900円だった。(割に合わなかったので、私は2倍の時給の家庭教師に移った。)しかも、AIによってリストラされた中程度のスキルの労働者が流入してくる。よって、こういう職業の雇用の需要が高まり、賃金がより低くなるだろう。
(2019.7,24追記)
やっぱり飲食店のほとんどの仕事は無くなりそう。
オーダーは端末でする店があるし、スマホ決済すればレジはいらない。ロボットが食事を届けるホテルは今も存在してるし、回転ずしのように食事を運んでもいいので、料理を持ってくる人もいらない。皿洗いも食器洗い機でなんとかなりそう。
残るのは調理する人ぐらい。
(追記おわり)
4.政府の対応
少子化は何十年も前から予測できたのに、今なお対応できてない。同様に、今回のAIによる失業も「世界中から数多くの論文等が発表され」予想されているが、政府は対応が遅いだろう。(「人工知能AI等が雇用に与える影響;日本の実態」、1p、2019.7.11アクセス)
(この点、北朝鮮は賢い。何十年も前から核を開発し、米国と会談した。
日本(他国も?)はどうして対応が遅れるのか。
何十年も前から対応したとしても、目に見える形で効果は表れないだろう。そのため、選挙に勝てない。これを避けるため、多くの政治家は喫緊の課題に着手するのかもしれない。)
5.行動しよう。
こういう事実を真摯に受け止め、今すぐ行動して欲しい。具体的な行動はコチラの記事で書いた。
6.参考図書
著者の新井紀子氏は数学者である。また、研究者のべ100人と共に、東大合格を目標にAIを作った。よって、この本の情報の信頼性は高い。
*1:新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』東洋経済新報社、2018年
以上です。
反論頂けたら幸いです。